こんにちは。大笑映画の会の松村です。
創設から三年目を迎えるにあたり、今回新たに脚本担当の募集を開始します。
詳細はこちらの募集ページをご覧ください。
脚本担当を募集する”ワケ”
映画脚本についてはブログ記事や映画制作基礎講座でも述べているので、ここでは多くを申しませんが、一つ誤解のないように申し添えれば、いい映画を作るためにはいい脚本を書くのは最低条件です。かと言っていい脚本はそのままいい映画にはなりません。
二年目の中頃あたりから、映画塾一期生を監督候補として、自作品の脚本は自分で書くと言う考えのもと、作業を進めてきました。しかし、あれから半年、実のところ一本も完成していません。その大きな理由は、
そもそも脚本執筆は難しい
からです。
各々が好き勝手に書くのは止めませんが、会作品の脚本として書くのであればそう言う訳にも行きません。プロの映画脚本家でもログラインから最終稿完成までは早くとも数ヶ月、ドツボにハマれば数年以上かかり、その多くは完成すらしないと言う厳しい世界です。ですから、少なくとも、テストの一夜漬け程度の軽い気持ちで超大作の脚本が書けると勘違いしているような場合は、早期に息切れすることになります。
少なくとも候補者の一人は、この先に待ち受けるであろう膨大な作業のステップ(トリートメント、アウトライン、脚本第一稿、リライト…最終稿、映画化準備さらには…)を理解した上で、それだけの時間と労力は現状割くことはできないと判断し、ログラインを終えた時点で作業を中断しました。これはこれで賢い判断だったと思います。
その他、作業が進まない理由は色々あるので、ここで思い当たるものをあげたいと思います。
- 監督候補が自作品の脚本を書くと、一球入魂になる傾向。一つの企画に固執して、柔軟な発想ができない。そもそもエンタメ性は企画の段階から吟味すべきなので、複数の案から少数を選ぶのが理想。と言うかフツー。
- 監督候補が自作品の脚本を書くと、どうしても内向きになる傾向。エンタメ性はお客さんのこと、つまり外向きの発想が必要。自分が好きな作品を書くと言うよりもむしろ、ターゲットに受け入れられそうな作品を書くと言うこと。
- トリートメントの時点で第二幕が抜けている。衝動的に思いついた(あるいは「天から降ってきた」と言う〇〇な形容)ストーリーは映画の構成において第一幕と第三幕の場面に集中している傾向有。”起”から”結”に至るまでの過程を書くのをめんどくさがる。物語を面白くするのは第二幕。オチの効果を高めるのもまた第二幕、と言う指導に難癖つけるケース有。単に加筆が面倒だと言う単なる意思表示。
- トリートメントで第二幕の葛藤が不足していても、アウトラインに移って加筆することは可能。しかし、そこでもやはり第二幕の加筆を面倒がる。基本的に、テストの一夜漬け状態で買いたトリートメントが脚本の完成形だと思っている嫌い。ここも単に面倒がっているだけ。ここでまごつくと言うことはその後のステップでもさらにまごつく可能性があるので、完成する気がしない。
ほか、ログラインを書くのが難しいなどと言うのは慣れないうち(慣れても)は当たり前なので、それは練習次第です。シーンの区別がつかないのも習熟が不足しているだけ。
思いつきで脚本書いて無理して映画化して後悔した頃にはもう遅いです。膨大な時間と労力と金を使い切ってしまった後ですから。脚本をリライトし続けるのに金はいりませんから(電気代いるとか言ってる小学生、宿題しろ)、出来ることは出来るうちにやっておくのが大人の嗜みです。
会活動における上記の企画・脚本に関わる問題を改善するため、三期目から新たに脚本志望の参加者を募集いたします次第です。
映画の会で脚本を担当をする場合、あくまで映像化が前提となりますので、書きはしたが映像化のチャンスはないと言う人にはチャンスかもしれません。発表の場を欲していたり、映画作家から脚本のフィードバックが欲しかったりする場合も同様です。シナリオや脚本を学ぶ学校に在籍していても参加可能です。
他、注意事項と致しましては次の項目があります。
- 映画の会の映像作品は当面は短編が中心です。長編は採用されない可能性が大きいです。
- チームの一員として脚本を執筆する。ピンの自称天才脚本家は求めてません。
- 基本理念に従える方。
- 予算規模への理解や、監督担当と相談し、映画言語に関わる要望がある場合にそれを取り入れる素養のある方。
- 会の提供する脚本講座は基本的に、米語で発行されている複数の脚本書をそのベースにしています。これにより、国内で取り入れた脚本の予備知識がある場合でも、その差異を理解し、受け入れられる方。また、会で執筆する脚本は、映像化準備ツールとの兼ね合いから、WGAの雛形をベースにしています。
詳細は映画塾内、脚本担当募集ページをご覧ください。
ご応募お待ちしております。
"To tell you the truth of it, child, you're astounding."
The Queen's Gambit